こんにちは。
やまざきたかし( @yamazaki_1205 )です。
ブログにおけるいわゆる「書評記事」を読むことはありますか?
ぼく自身、実際に書くことも読むこともあります。
その際、「この書き方うまいなー!」と様々な形式や展開に触れて思うわけですが、自分のことになると「この書き方でいいのか?」とモヤモヤするのが常。
そんな経緯があって、「書評記事の書き方」について書かれた本を探した結果、倉下忠憲さんによる、そのものズバリな『書評記事の書き方』に行き着きました。
今回は、本書を読んで書評を書くというチャレンジです。
そもそも書評とは?
書評の書き方に触れる前提として、そもそも書評の意味とは何なのかについて記述があります。
ウィキペディアの定義を検証するなどした後に導かれたまとめとしては、このように表現されていました。
- 書評(レビュー):内容紹介+論評
- 論評:論評だけ
- 新刊紹介:内容紹介だけ
- 読書感想文:内容紹介+感想
特に、読書感想文との比較があるので、論点がはっきりしてきます。
プラス、自分で書評を書くことについてモヤモヤしたものがあるのには、子供の頃に持っていた「読書感想文が苦手だった」ことと、それとの「違いをゴチャゴチャにしていた」こと影響があるのでは?と気づいたのも収穫です。
そうなれば、次の検討課題は「“論評”と“感想”の違い」になってきます。
絶対の境界線はないにせよ、イメージとしては「客観的な要素が多いか少ないか」に行き着くことが提示されていました。
このことを理解するために説明されていたのが、このような一文です。
まずは“感想”について。
《感想》は、その世界にどぶんと飛び込んで、さまざまに探検して巡るような文章になります。つまり、視点の設定は「本の中」です。
続いて“論評”について。
《論評》は、視点を「本の外」に設定します。本を外から眺めて、評価するのです。
具体的には、論評であれば別の本と比較する場合がイメージしやすいですね。
視点が「本の外」にあるからこそできる書き方といえます。
書評のスタイルは?
書評と他の分類について検討した上で、「じゃあ、実際のところどのように書くの?」というのが話題になってきます。
結論としては“自由”なのが書評。
新聞の書評欄のような「文字数の制限」や「新聞社としての方針」などは、個人ブログにおいて関係がないものです。
それを確認することができただけでも価値はありますが、一応の方針は知っておきたいところなので、印象的なところに触れていきましょう。
その内容は、「書くことを引き出す7つの質問」という項目に詳しくあります。
その質問は以下の通り。
- 質問1:購入の経緯は?
- 質問2:本の対象読者は?
- 質問3:著者の考えはどのようなものか?
- 質問4:その考えにどのような印象を持ったか?
- 質問5:印象に残ったフレーズやセンテンスは何か?
- 質問6:類書との違いはどこか?
- 質問7:関連する情報は何かあるか?
内容を見て分かるように、本を読む前から書評は始まっているのですね。
さらに、本を読む際には、この質問に答えることを想定しながら読み進めると目的意識を持つことができそうです。
優れた書評にあるものとは?
本書の後半には、倉下忠憲さんによる具体的な書評記事を時系列で並べ、その変遷をたどることができます。
その具体的な中身は読んで確認してもらうことにして、印象的な部分と普段から感じていたことを列挙しておきます。
“脱線”の仕方が上手い
魅力的な授業をする先生が脱線話をよくするように、魅力的な書評においても脱線している様子を見ることができます。
もちろん、ただ単に脱線しているのではなく、うまく本編とつながった上での脱線、かつ、いつのまにか本編に戻っているようなイメージです。
書評を書いたご本人の中で、知識がつながる瞬間に立ち会うことができます。
これは、『書評記事の書き方』を読む前から感じていたことではありますが、実は書評が書評たるゆえんで理に叶っているのが今回理解できました。
すなわち書評は「本の外」に視点があるからこそ書評であるという読書感想文との違いを考えれば、必然的にそのような記述も出てくるよね、ということです。
読み手が変化している様子が分かる
一つはノウハウを手に入れて実践した結果、その変化を見て取れること。
さらにもう一つは、知識のアップデートとその根拠が示されている点です。
おそらく著者の方からすれば、自身の本をきっかけに読み手が行動したというのは嬉しいことでしょう。
その様子が具体的に示された書評は、読んでいて楽しいものです。
人間性が垣間見える・共感のポイントがある
紹介されている『なぜ、仕事が予定通りに終わらないのか?』の書評の中に、このような記述があります。
「あれもやろう、これもやろう」と考えているときは、もっとイージーにそれが実現できるような気がするのだ。「午前中は、あれとこれ。午後にそれとあれをやって、夕方にあれを……」と、理想的な一日ができあがっていく。頭の中に。でも、それはあまりに理想的すぎるのだ。つまり、現実味を欠いている。
「あぁ、まさに自分のことだな…」と共感するポイントがあると、書評を読んでから、書籍そのものへの興味ががぜん湧いてくるわけです。
要約がしっかりしている書評も有益ではありますが、逆に本まで読まなくてもいいかな、と“お腹いっぱい”になることもありますね。
表現がとにかく上手い
これは、どちからといえば読書感想文寄りの話かもしれません。
同じ感動を紹介するのでも、小・中学生の頃に書いていた「おもしろかったです」から10歩くらい進んだ表現が嫌味なく展開されていたりすると、もう降参してしまいます。
『書評記事の書き方』を読んで書評を書いてみた・まとめ
『書評記事の書き方』について、そもそも書評とは何かからスタートし、書き方の指針や個人的に感じた部分について書いてきました。
一応の考え方はあっても結局自由にやればいいこと、そして、いままでは書評を読書感想文寄りに考えていたのが分かり、収穫が多かったと言えます。
本がある限りネタが無限にある書評の分野に興味のある人にぜひ読んでほしいです。
それではまた。